複数ロボット対話場面における意見対立による印象悪化 を緩和するための視線協調制御の検討

坂田大直


人間同士の対話における意見対立は、関係構築の初期段階において、相手に対す る印象を下げ、関係構築の妨げになる可能性がある。本研究では、人同士の対話の 間にロボットを2台おき、ロボットの視線を調整することで、そういった意見対立 したロボットや会話全体の印象悪化を抑制することを目指す。

これまで頷きなどで同調する動作については心理学で多くの研究があり,それら を実際にロボットに実装し有効性を示した研究は多くなされているが,現在の技術 ではロボットが常に同調できるとは限らず,対立意見を引き起こす可能性を含んで いる.こういった意見対立は人が遠隔操作するロボットを介したコミュニケーショ ンでは特に起こる可能性がある.そのため,対立意見を述べる際にどのように動作 を制御するべきかを検討することは重要な課題である.我々は, ロボットの視線動 作に着目し,2 体のロボットの協調的に動作させることで, この問題に取り組む. 高 齢者 20 名と若年者 20 名によるロボットの各動作に関する印象評価実験を行った結 果, 対話の印象悪化を抑制する効果は確認できなかったが, 高齢者は, 若年者と比べ てロボットの順番の差を認識しにくく, また, 若年者がネガティブと感じるロボッ トの動作で高齢者はそう感じないなど年齢による認知的な差異があることの知見を 得た。 本発表では,実験結果について詳説する.