ユマニチュードやタクティールケアといった肌をなでる・さする・手を当てるなどの方法を用いて行われるタッチケアには,疼痛の緩和や不安の軽減,被施術者に疼痛の緩和,不安の軽減,および,リラックス効果を与える.さらに、タッチケアは認知症ケアに有用だと報告されており,近年では,介護や医療の現場でタッチケアが利用されている.しかし,実際には介護従事者の不足が深刻な問題となっており,ケアが十分にできていないという問題がある.タッチケアを自動化することで,スタッフの負担軽減が期待できる.本研究では,タッチケアの自動化のために,温度制御が可能な,受動機構を有したエンドエフェクタの開発を目的とする.1)人の骨の剛性と関節,2)人肌の感触,3)人の温かさを再現できるように,エンドエフェクタを設計する.タッチケアロボットが介護や医療の現場に普及するための初期段階として,人同士でもたらされる身体接触の効果が,ロボットと人との間でも起こりうるのかを検証するために,製作したエンドエフェクタとロボットアームを用いて,タッチケア実験を実施する.タッチケア実施中における唾液アミラーゼ活性値が安静時よりも減少したので,タッチケアロボットとしての可能性を示すことができた.