ライブラリ推薦手法におけるカテゴリ情報およびパッケージングエコシステムの影響の分析

桂川大輝


本発表は,ソフトウェア開発者に有用なライブラリの候補を提示するライブラリ推薦手法に関する2つの課題に取り組む. 1つ目の課題は,既存ライブラリ推薦手法が,複数のライブラリを推薦する場合に類似の機能を持つライブラリを推薦する恐れがあることである. これに対し,本研究では,課題の解決を目的として,ライブラリがどのような役割を担っているかという機能に基づいた分類であるカテゴリ情報を用いて,開発者により多種多様なライブラリを推薦する手法を提案する.そして,提案手法の推薦成功率を評価した. 2つ目の課題は,既存ライブラリ推薦手法が,特定のエコシステムのみで評価され,他のエコシステムで利用可能か否かが不明瞭であることである. これに対し,本研究では,課題の解決を目的として,様々な相違点が存在する異なるエコシステム間における既存ライブラリ推薦手法の作用の違いについて調査する. そして,既存ライブラリ推薦手法はどのようなエコシステムにおいても利用可能か否かを明らかにする. 実験結果から,ライブラリ推薦におけるカテゴリ情報の導入は,今後の改善によって既存ライブラリ推薦手法を上回る推薦成功率が期待されること,異なるエコシステム間でライブラリ利用方法には相違点があり,ライブラリ推薦手法はそれらを考慮する必要があることを明らかにした.