平行二線路の近傍電磁界結合を用いた無線タグの位置推定技術

小野貴寛(1751026)


本発表では,平行二線路の近傍界結合を利用した無線タグの位置推定技術を提案する. 提案手法は,平行二線路を用いた無線給電技術をベースとしており, 平行二線路上に配置される無線タグの一次元的な位置を特定するものである. 物体の位置を推定する手法は多く提案されているが,遠方界を用いる手法は,伝搬路に存在する反射物や障害物に起因するマルチパスによって定位精度が低下する問題を抱えている. 本研究は.近傍界結合を利用する手法であるため伝搬路による精度低下を抑えることができる. また同じく近傍界を利用する推定手法がいくつか提案されているが,その多くは領域分割による離散的な位置推定であるのに対して,本手法は連続的な推定が可能である. 本発表でははじめに推定の基本原理について説明し,さらに推定限界を緩和するための以下の2つの手法を提案する.

1つ目の手法は無線給電技術における磁界結合と電界結合の両者を利用する事によって推定限界を2倍に拡張できる.

2つ目の手法は,複数の異なる周波数の高周波源を用いて,単一周波数の場合の最小公倍数に相当する推定限界を確保できる.