遺伝子ネットワークは,マイクロアレイや次世代シーケンサから得られた遺伝子の発現データを基に構築され,遺伝子間における相互作用を表している.用いられる遺伝子数は数百から数千にのぼるため,遺伝子ネットワークは大規模かつ複雑で理解が困難ある.そこで,生物学的知見の獲得やモデルの構築を行うために,小規模なネットワークに分割する.しかし,小規模なネットワークへの分割は,遺伝子発現データあるいは遺伝子ネットワークの持つグラフ構造のどちらかの情報にのみ基づいて行われる.
そこで本研究では,より良い解釈が行われるために両データの情報を加味した手法を提案した.提案手法は非負値行列因子分解を基盤とし,ネットワーク構造を加味できるよう改良を加えた更新式を用いて,ベイズ情報基準量に基づいた基底数で解析を行った.その結果,得られた特徴的な遺伝子で構成されたネットワークの解釈を行うと,コラーゲン繊維・エネルギー代謝・細胞分裂に関わる機能とその他に大別された.