本研究ではこの点を解明するため,FMEAのみを変更影響評価に用いることで起こる問題点の発見を目的とした実験を行った. 具体的には,FMEAの比較対象としてFTAを置き,安全解析への影響評価について2つの安全解析手法の間に評価のしやすさや有効性の差異が現れると考える点を仮説として立て,2つの異なるシステムにおいて仮説を検証する実験を実施した.
実験の結果,コンポーネントの組み合わせレベルの変更影響や要求レベルからの変更の影響について,FMEAを用いた評価を行うことでFTAを用いた評価よりも影響の評価漏れが起きやすい傾向にあることが仮説通り解明された. また,FMEAを用いた評価を行う場合に影響箇所の適合率が低くなる,すなわち限られた時間で影響箇所の正解を絞り込みにくい傾向にあることが解明された.