システム安全解析における変更影響評価手法の改善に関する調査・検討

入江琴子 (1751013)


代表的なシステム安全解析手法としてFTA(Fault Tree Analysis)とFMEA (Failure Mode and Effects Analysis)がある. 先行研究では,システムに開発上の変更が生じて変更に関する安全への影響評価を行う際に,FMEAのみが頻繁に参照されていることが明らかになった. しかし,複数の手法を用いて安全解析が行われているシステムであれば,単一の安全解析手法のみを参照した影響評価を行った場合影響の評価漏れなどが起こることが考えられる. このような問題がある一方で,具体的にどういった変更影響の評価に漏れが生じやすいのかは解明されていない.

本研究ではこの点を解明するため,FMEAのみを変更影響評価に用いることで起こる問題点の発見を目的とした実験を行った. 具体的には,FMEAの比較対象としてFTAを置き,安全解析への影響評価について2つの安全解析手法の間に評価のしやすさや有効性の差異が現れると考える点を仮説として立て,2つの異なるシステムにおいて仮説を検証する実験を実施した.

実験の結果,コンポーネントの組み合わせレベルの変更影響や要求レベルからの変更の影響について,FMEAを用いた評価を行うことでFTAを用いた評価よりも影響の評価漏れが起きやすい傾向にあることが仮説通り解明された. また,FMEAを用いた評価を行う場合に影響箇所の適合率が低くなる,すなわち限られた時間で影響箇所の正解を絞り込みにくい傾向にあることが解明された.