近年，IoT社会の発達に伴い，多くの人々がスマートフォンに代表されるような携帯電子機器を持ち歩くようになっている．しかし，バッテリー容量の限界からそれらを終日使用することは難しく，個人レベルでの電力不足問題が発生し始めている．この問題に対処するために， 人間を1つのエネルギー源として考え，人間の動作から発電を行うエナジーハーベスタと呼ばれる装置が開発されている．しかし，対象となる動作が単一であるため，その他の動作からの発電が困難である．
そこで本研究では，多様な動作に適用可能なエナジーハーベスタの開発を目的とする． 変速機構として無段変速機を組み込んだエナジーハーベスタによる多様な動作からの発電とベイズ最適化及びマルチタスクベイズ最適化を用いての各動作ごとに適した変速比探索の枠組みを提案する．
製作した変速機付ハーベスタの変速比に応じた発電量への影響の検証および， 提案手法の有効性の検証のために，複数動作に対してこれまでの動作を踏まえた変速比探索を実行する． これにより，動作ごとに適した変速比が異なることが確認され，またマルチタスクベイズ最適化を探索手法として利用することで，探索回数を削減することが可能となり，探索時にハーベスタ使用者に対する労力を低減できることを確認した．