今日までに深層学習を活用した臨床現場における診断支援に関する研究が盛んに行われており, 単にがんの有無のみならず, 人の目では識別困難な遺伝子発現タイプの識別も可能になりつつある. しかし, その多くは教師あり学習に基づいており, 学習に必要な教師ラベルの作成コストは非常に高い. そのため, 現段階での深層学習を活用した診断支援の適応疾患はまだ一部に限られているという問題がある.
本研究では, 教師なし学習に基づく組織属性のクラスタリングを行うことで組織属性の識別と定量化を試みた. その結果, がんの組織属性に基づくクラスタとその所属確率として, 将来的に診断支援や病理の理解に寄与する結果を得た. 加えて, 同データセットを用いた特殊染色の予測を行う染色変換器の構築を行い, その予測の再現性と運用可能性について検討を行った.