深層学習を用いた膵癌病理画像の染色変換とクラスタリングによる解析

浅野幸之助 (1751002)


膵臓癌の確定診断を下す際に, 生検による病理診断が行われる. 組織病理診断は 病理医の経験に基づいて, 目視による診断が下されるため, 半定量的という問題がある. そのため, 判別が難しい組織に対して診断を下す際の, 客観的な診断指標が必要とされている.

今日までに深層学習を活用した臨床現場における診断支援に関する研究が盛んに行われており, 単にがんの有無のみならず, 人の目では識別困難な遺伝子発現タイプの識別も可能になりつつある. しかし, その多くは教師あり学習に基づいており, 学習に必要な教師ラベルの作成コストは非常に高い. そのため, 現段階での深層学習を活用した診断支援の適応疾患はまだ一部に限られているという問題がある.

本研究では, 教師なし学習に基づく組織属性のクラスタリングを行うことで組織属性の識別と定量化を試みた. その結果, がんの組織属性に基づくクラスタとその所属確率として, 将来的に診断支援や病理の理解に寄与する結果を得た. 加えて, 同データセットを用いた特殊染色の予測を行う染色変換器の構築を行い, その予測の再現性と運用可能性について検討を行った.