視線認識を用いたメールインジケータの視認性分析に関する研究

小野木祐太 (1351027)


現代社会において、電子メールの普及とともになりすましメールが問題となっている。なりすましメールからエンドユーザの安全を守る技術には、SPF、Sender ID、DKIM、PGP、S/MIME、メーラーフィンガープリントを用いた研究などがあり、様々な手法が研究されている。

これらの技術がいかに優れているとしても、これを利用する人間が確認を怠るようなことがあれば、忽ち危険な状態に晒されてしまう。

このような人的要因を軽減するために、メールソフトにはインジケータを用いて、エンドユーザに安全性を検証した結果を提示する機能がある。しかし、メールインジケータの視認性や分かりやすさには不明瞭な点が多い。

これらの特性を調べるために、既存のメールインジケータと異なる特性を持つ2種類のメールインジケータを設計し、ユーザがなりすまし判定をする際の視線情報から分析を行う。

その結果、文字と色とアイコンの組み合わせを持つインジケータの視認性とわかりやすさの評価は高く、これらの条件を満たすものとして、Thundersecのような通知バーで表示を行うインジケータや、メッセージヘッダーの左に表示を行う提案手法(IBGC2)が高評価を得られた。

インジケータがサイズが大きいほど視認性は高くなるが、小さなインジケータに限定すると、IBGC2が高い視認性を示した。

追加の考察として、セキュリティ教育を受けたかどうかが、視線分析の結果に影響するかを調べた。セキュリティ教育を受けた人は、本文や本文中に含まれるURLなどに比較的注目を置き、セキュリティ教育を受けてない人は送信者の名前やアドレスに比較的注目を置いているような特徴が確認できた。