車両から得られたセンサデータを利用した路線バス運行状態分類手法の提案

米澤 拓也 (1651127)


旅客運送業において運行管理者が,安全管理,効率的な運行管理の観点から車両の運行状態を把握することは重要である.現在,運行管理者が運行中や休憩中といった運行状態を把握する際には,運転者がデジタルタコグラフとよばれる記録計を手動で操作することにより,運行状態を記録している.しかし,デジタルタコグラフを利用した運行管理では以下の課題が存在する.(1)リアルタイムに運行状態を把握することができない,(2)運転者の端末操作の負担が発生,(3)誤った運行状態の記録,(4)運行データの二次利用が困難といった課題が存在する.本研究ではこれらの課題を解決し,運行の効率化を実現するために,バスから得られるセンサデータを利用した運行状態の自動分類を実現することを目的とする.本研究では,分類の高速性や汎用性の観点から,Random Forestを利用した運行状態分類モデルを構築した.神戸市内を走行する路線バスの実運行データを利用し,運転手がデジタルタコグラフを操作して記録した運行状態と,構築した運行状態分類モデルが出力した運行状態を比較し,提案手法の検証を行った複数の運行状態分類モデルを構築し,評価を行った結果,同一路線に対する分類ではモデルの正答率は0.9前後となった.また,運転手が手動で運行状態を入力した結果と比較すると,運行状態分類モデルの正答率が手動入力の結果を上回るという結果が得られた.