ロボットアームによる容器形状を考慮したすくい動作の生成

吉岡 大輝(1651120)


近年,少子高齢化の影響から人手不足が問題となっており,介護用ロボットの需要が高まっている.中でも食事は人間の生活にとって必要不可欠であるため,食事支援ロボットの研究が数多く行われている. 食事支援ロボットで使用する食器は汎用性の高さからスプーンを選択することが多く,スプーンを使用した食事にはすくい動作必要となる.したがってロボットを使用してすくい動作を生成する研究が行われている.しかし,それらの研究では対象物体の性質の違いは考慮されているが,容器形状の違いは考慮されていない.よって家庭内に存在する多様な容器に対してすくい動作を行う場合,内容物体をすくい取れないことやすくい残しが発生することが考えられる.

本発表ではロボットアームを使用し,容器形状を考慮したスプーンのすくい動作を生成する.まず,容器形状と容器の3次元位置情報を基にロボットアームの逆運動学によるスプーンのなぞり動作を実装する.さらにスプーンによるなぞり動作にスプーンの面の角度制御を組み合わせることによってすくい動作を生成する.本研究では,スプーンの角度制御に必要なパラメータを人間のすくい動作を計測することで特定する. また,動作生成に必要な容器形状はロボットアームのダイレクトティーチングと補間手法を使用して推定する.さらに,容器の位置に合わせたすくい動作を生成するために,容器の3次元位置をRGB-Dセンサによって計測する.

ロボットアームによるすくい取り実験では2つの容器に対してすくい動作を行い,一つの容器では91.7 %,もう一方の容器では81.5 %の量の内容物体をすくい取ることに成功した.また,5種類の対象物体に対してすくい動作を行い,4つの対象物体において78 %以上の量の内容物体のすくい取りに成功した.