BLEビーコンを用いた介護記録自動生成システム

森田 達弥 (1651114)


高齢者人口は世界規模で増加しており,それに伴い介護施設への入居者も増加している. その結果,介護施設における介護職員の業務負担が社会問題となっている. 介護施設では,入居者の生活の質を向上させることなどを目的に,入居者の1日の活動を介護記録として記録している. しかし,実際の現場において各介護職員は複数の入居者を同時に介護する必要があるため記録作業が困難となっている.

本研究では,介護施設の入居者の活動をモニタリングする行動履歴自動生成システムを提案する. 提案システムは,Bluetooth Low Energy(BLE)ビーコンの受信信号強度(RSSI: Received Signal Strength Indicator)を特徴量とした機械学習を用いることにより,入居者が位置する複数のエリアを推定し,推定されたエリア情報から各入居者の行動を認識する. 入居者の行動情報はリアルタイムにサーバへ保存され,WebアプリケーションによってPCやタブレットからレポートとして出力可能である.

提案システムの有用性を示すため,行動推定の評価実験を,実際の介護施設において4人の入居者及び職員を対象に5日間行なった. 具体的には,以下の4つの評価を行い,提案システムに最適な手法を確認した.1) 機械学習アルゴリズムの比較, 2) 平滑化手法の比較,3) 平滑化における時間窓の比較,4) 生成された日報の評価. 評価の結果,機械学習アルゴリズムはランダムフォレストと勾配ブースティング木,平滑化は50〜60秒程度の最頻値による平滑化が加重平均F値が0.8を超え最も良い結果となった.また,介護職員に行なったインタビューから出力されたレポートは介護記録の作成に有用であるということがわかった.