肝臓形状による診断はモダリティや造影・非造影に関わらず,他の診断で撮影した腹部三次元画像があれば,副次的に線維化を診断できる. 本研究では,形状による診断の従来法の個人差による形状の違いと疾患による形状の変化が分離できない問題点が改善するため,部分最小二乗法を用いて線維化に伴う形状の変形を抽出する手法を提案し,従来法と提案法の両方で線維化ステージの分類を行った. その結果,提案法は,F0&1vsF2,3,4の分類で平均AUC:0.871±0.035, F0&1,2vsF3,4の分類で平均AUC:0.775±0.055, F0&1,2,3vsF4の分類では平均AUC:0.761±0.047を示した. 全ての2クラス分類において,対応のあるt検定を行った結果,提案法は従来法に比べ,p<0.01の水準でAUCが向上した.
提案法と血液生化学検査のスコアFIB-4,MRエラストグラフィで計測したLiver Stiffnessとの比較では,いずれも,提案法のAUCが下回る結果となったが, 線維化初期であるF0&1,2vsF3,4の分類においては臨床で使用されるFIB-4とLiver Stiffnessと比べ,AUCの差分-0.05,-0.071まで大きく近づくことができた. また,F0&1,2vsF3,4において,FIB-4で正しく分類できない症例でも,提案法で正しく分類できた症例があり, 両者を組み合わせた相補的な分類精度の向上が示唆された.