知識ベース補完における関係の対称/非対称性の学習

真鍋 陽俊 (1651100)


知識ベース補完タスクにおいて、 埋め込みベースの手法はエンティティ間にある関係が成立するかどうかを評価するスコアリング関数に従い、 各エンティティと関係の表現学習を行う手法である。 これらの手法では、 実世界の様々な関係に対応するために表現力の高いスコアリング関数を定義する必要がある。 その一方でモデルの表現力を高めようとすると学習すべきパラメータの数が増加してしまう問題がある。 特に、関係が対称もしくは非対称な性質のどちらか一方を持つ場合、 このような手法では冗長なパラメータが発生してしまい精度に悪影響を及ぼすと考えられる。 この問題を緩和するために、 本研究では知識ベース補完タスクにおいて高精度を達成している複素埋め込みに対して新たなL1正則化を提案する。 この正則化により関係毎にスコアリング関数が対称もしくは反対称になることを促し、 冗長なパラメータを削減することが可能となる。 評価実験において、 実際に我々の手法が通常の複素埋め込みや他のベースライン手法に比べ、 高精度な予測を行えることを示す。