クラウドワーカの品質推定のためのタスク介入による振る舞い拡張
松田 義貴 (1651099)
マイクロタスク型のクラウドソーシングは,安価に大量のタスクを発注できるというメリットがある.一方で,能力が無いワーカや意図的に不適切な作業を行うワーカが存在するため,依頼者が期待するような結果を得ることができるとは限らない.このような低品質なワーカを排除もしくは指導することができれば,作業結果の品質向上が期待できる.そこで,重要な課題となるのが自動的なワーカの品質推定である.本研究では,ワーカの振る舞いを用いた品質推定手法に着目する.既存の研究では,振る舞いの分析ばかりに焦点が当てられ,振る舞いの取得に関しては議論されていない.しかし,単純なタスクでは取得できる振る舞いが限られ,取得できる振る舞いが少ないとワーカの振る舞いに差が見られないことが予想される.また,取得するワーカの振る舞いがより詳細であることが望ましいと考えられる.そこで本研究では,タスクに対してワーカの振る舞いを取得する仕組みを追加し,多くの振る舞いを取得することによって,ワーカの品質をより高精度に推定する手法を提案する.提案手法では低品質なワーカの推定精度が向上した.また,タスク介入によって取得可能となったコンテンツの閲覧時間や回数などの振る舞いがワーカの品質推定に重要な役割を果たしていることが分かった.一方で,処理時間とワーカの離脱率が増加するというトレードオフの関係があった.本発表では,関連研究を紹介し,上記の手法と結果について詳しく述べる.