トランスクリプトームデータを用いた肺腺癌のクラスタリングモデルの作成

前田雄大 (1651096)


肺癌は、世界の癌関連死亡率の最も一般的な原因であり、毎年100万人以上が死亡している。肺癌はその組織型により臨床経過が異なり、また治療に対する反応も異なるため、それらのより治療にあたって有効な分類が必要とされている。その中でも肺腺癌は最も一般的な組織学上の肺癌の分類型であり、多数の亜型が存在していることから、統一的なサブクラスの分類方法が求められている。我々はここに、442人の肺腺癌患者から採取された肺腺癌の遺伝子発現量を網羅的な測定結果であるトランスクリプトームデータから、Bayesian Hierarchical Clustering による分類を行った。その結果、11の肺腺癌サブクラスを得た。複数のクラスターにASCL1やTFF1などの臨床データと関連のある遺伝子の有意な発現変動がみられた。さらにFGAやCA12遺伝子に肺腺癌の分類に寄与する可能性のある発現変動を発見した。