生体信号処理による負の感情抑圧状態の検出

本田 将大 (1651095)


感情抑圧 (emotional suppression) は,特定の感情を抱いた際に,表情や態度などの感情を表出する表現行動を意識的に抑制する状態である.人間と人間との対話において,話者が感情を抑圧すると,彼らの詳細な内部状態を対話者に表現することができないという問題がある. 我々は,そのような人間が知覚できない感情抑圧の認識技術を提案する. 本研究では,負の感情の抑圧を検出するため,中立感情と嫌悪感情を誘引する映像を視聴する場合と映像視聴後に発話する場合の脳血流動態と脈波を計測した. 脳血流動態と脈波の時系列データから識別に有効な特徴量を算出し,各感情間で有意差があるか否かを確認するため,統計的仮説検定を行った. 次に,感情抑圧を自動的に検出するため,識別モデルの適用を試みた. 結果として,人手での識別精度が約50\%であるのに対し,我々のモデルは60\%以上の精度で感情抑圧の有無を識別できることを示した.