光捕捉下粒子の実時間ブラウン運動解析に向けた機械学習を用いた粒子位置推定法の開発

野原有実(1651087)


光ピンセットとは、水中に存在する微小物体に集光レーザービームを照射した時に発生する光の放射圧を利用し、顕微鏡下で非接触かつ非破壊に微小物体を捕捉・操作できる技術のことである。捕捉対象となる微小物体は水中に存在し、不規則な運動(ブラウン運動)をしており、捕捉下においても完全にはその運動は抑制されていない。これにより、正確なビーム照射が微小物体に対して行えず、時折、捕捉下の微小物体の取りこぼしが発生する。より正確な捕捉・操作のためには、捕捉下の微小物体のブラウン運動の様子を3次元的に解析し、その運動を抑制するような制御を行う必要がある。そこで本研究では、正確な光ピンセットでの捕捉・操作を目指すことを目的に、捕捉対象を球形粒子として、光ピンセット捕捉下の実時間でのブラウン運動解析に向けた機械学習を用いた粒子位置推定法を提案し、提案手法に最適な機械学習手法の検討を行った。提案手法では16分割光検出器を用いることを想定している。そのため、検討実験では、まず、16分割光検出器から取得できる信号電圧に疑似した信号を顕微鏡画像から作成した。そして、1つの推定器から粒子位置の3次元座標を出力する多出力モデルと3次元座標の1成分のみを出力する推定器を3つ組み合わせて3次元座標を得る単出力モデルの2種類を構築した。その結果、多出力モデルは単出力モデルよりも精度が低い結果となった。また、面内方向(x,y)に関してはニューラルネットワークとランダムフォレストで構築した2つ推定モデルの精度がよく、光軸方向(z)に関してはサポートベクターマシンで構築した推定モデルの精度がよい結果となることを確認した。