タッチケアロボットのためのエンドエフェクタの設計と評価

豊島 健太 (1651079)


高齢者の介護問題が年々深刻になっている中,タッチケアが介護・医療の現場で注目されている. しかし,介護現場では人手不足が深刻な問題となっており,こうしたケアを十分に行うことが困難である場合も多い. タッチケアを自動化することができれば,介護スタッフの負担の軽減や認知症患者の減少が期待できる. 本研究では,人の手によるタッチケアを再現するタッチケアロボットを開発し,自動化を目指す. タッチケアロボットの開発について,人の動きを再現する方法と,人の動きの模倣ではない心地よさを与えるタッチケアを行う方法の2つのアプローチが考えられる. 本発表ではこの2つのアプローチに対し,人に接触するエンドエフェクタに着目し,実験を通して人らしさと与える心地よさについて検証し,エンドエフェクタに求められる機能について考察する.

我々は4つのハンドを製作し,背中を撫でる際にどのようなエンドエフェクタが人の手に近いのかを,実際の人の手と比較する実験・検証を行った. その結果4つのハンドの中ではゴム手袋が最も人の手に近い感触であり,次点で機構のないハンドが人の手に近いという傾向が分かった. 次に,3つのハンドに温度差を加えた6パターンについて,ロボットによる撫で動作を行い,そのハンドの「人らしさ」と「心地よさ」を比較する実験を行った. その結果,接触面積が広く温かいエンドエフェクタが人に人らしさと心地よさを与えやすいという結果を得た.