Time-of-Flight計測における反射率ごとの位相変化に注目した霧の影響除去

鈴木 大介 (1651064)


距離計測を行うTime-of-Flight(ToF)カメラで霧中にある物体を計測すると,光が散乱するために見え方が不鮮明になるだけでなく,正しい距離の計測が行えなくなる.これは物体と霧で反射する光を足し合わせた光がカメラで受光されてしまうことから起きてしまう現象で,物体認識や距離計測の大きな問題となる.本研究では,ToFカメラを用いて物体の鮮明化と正しい距離を推定することを目的とする.霧中におけるToF計測では,同じ位置にある物体でも反射率によって異なる距離となってしまう.これに注目し,極座標上で反射光の関係をモデル化することで,誤って計測した値のみから霧の影響を特定する手法を開発した.特定した霧の影響を計測値から取り除くことによって,物体の鮮明化と正しい距離を推定することができる.まずは,シミュレーションで本手法の検証を行った.次に,実際のToFカメラを用いて模擬環境と人工霧を用いた実験を行い,本手法を使って物体の明るさと距離を推定したところ,真値に近い値になることを確認した.