構造的ネットワークを制約に加えた安静時電流源推定法の提案
鈴木 啓大(1651063)
脳磁図を対象とした電流源推定問題は,一般的に観測変数よりも推定変数の方が多い劣決定な逆問題として記述される.この問題を解くため,様々な制約を用いた推定手法が提案されてきた.しかしながら,従来手法の多くはタスク時の電流源推定に適しているものの,未だ安静時の脳活動に適した手法は提案されていない.実際の安静時脳活動のダイナミクスを考えると,各電流源は神経束からなる構造的結合によって繋がっており,その長さに従った時間遅れを伴って電流の遷移が起こっていると考えられる.そこで我々は構造的結合を制約として加えた安静時脳活動に対してロバストな電流源推定手法を提案する.
我々はシミュレーション実験により提案手法が狙い通りの働きをしていることを確認した.
特筆すべきこととして,既存手法では機能的,構造的理由から活動源の推定を行うのが困難であった領野に対しても提案手法によってロバストな推定が行えることを示せた.