人工股関節全置換術における術前・術後CT画像を用いた臼蓋カップおよび骨盤形状術後変化の自動検出

末長 和馬 (1651061)


著者の所属する研究グループでは,人工股関節全置換術を対象とした手術計画自動立案システムを開発している.本システムはCT画像から再構成された骨形状を入力することで,人工関節の最適なサイズ,位置姿勢を決定する.これまで,術前の手術計画を学習データとしてきたが,手術のより詳細なモデリングには,術後データも活用することが望ましい.

そこで本研究は,術後データベースつくりのための術前計画・術後人工股関節カップ(以下カップ)の比較,術後カップの骨棘評価,また,術後CT画像からCNNを用いたカップ領域の自動抽出を行うことを目的としている.そこで本稿では全自動でのTHA術前計画・術後データ間の評価方法を提案する.

本研究の新規点は,金属アーチファクトの含まれているCTでの骨盤・カップのセグメンテーション,全自動での術前カップ・術後カップ解析の2点となっている.

術後セグメンテーション結果としてDice係数が骨盤で0.963,カップで0.740であった.また金属アーチファクト下である臼蓋縁の距離誤差を測定したところ,2.53 mmであった.位置合わせの結果として表面間距離誤差の0.826 mm,カップの平均中心間距離は4.08 mmとなった.全自動で以上の結果を得ることができた.術後骨棘評価では削りが小さい症例から大きい症例まで実際に確認することができた.