容量結合心電計を用いた睡眠時異常心拍検出システムの構築
城戸孝士郎 (1651042)
心疾患は国内の死因の第二位に位置している。検査手段としては心電図や画像診断、カテーテルを用いるものなどがある。心電図は心臓が全身に血液を送るときの収縮・拡張する際に発生する電位を測定したものである。心臓の筋肉が動く際の電位を測定するため、他の非電気的な手段と比べ心臓と生理機能との関係が深く、また電極を貼ることで非侵襲的・容易に測定ができ、不整脈の検査に広く用いられている。心疾患の兆候は常時現れるものではなく、長期の測定が必要となるが、電極貼付による不快感等、長期の測定には問題点もある。それを睡眠時であるが解決したのが容量結合心電計である。静電容量を介して心電位を測定できるため寝具に組み込むと服を着て寝具で横になるだけで心電位を測定できる。この容量結合心電計の波形は電極を貼る心電計の波形と性質が違うため、それに対応した分類アルゴリズムが必要となる。性質の違いは主に波形の振幅で、睡眠時の姿勢によって電極が身体にあたる位置が変わり、波形の振幅が変わってしまう。しかし心電図の心臓の動く部位に対応する各波形成分の時間情報は姿勢によって変化しない。そのため姿勢の影響を受けない時間情報、相対的振幅を特徴にし、電極を貼る心電計のオープンデータでモデルを作り分類を行った。検証はオープンデータによるクロスバリデーションとシミュレータの出力波形を容量結合心電計で測定したものをオープンデータで作ったモデルで分類し行った。学習分類にはバギング決定木を使っている。分類精度(Accuracy)はオープンデータとシミュレータで98.9%となり、容量結合心電計を用いた異常心拍検出の可能性が示唆された。