セマンティックマップを用いた視差マップの改善

川上 蓮也 (1651035)


近年,自動運転の実現に向けて様々な研究開発が行われている.中でも環境認識技術は非常に重要視されており,実現のため様々なセンサが利用されている.その一つであるステレオカメラは,軽量かつ比較的安価であり,また人間の視覚同様に色と距離の両方が取得できるという特徴を持っている.そのため,現在開発されている先進運転支援システムの多くに採用されている. しかしながら,ステレオカメラにおける距離精度は環境に依存し,特に反射や透過に対して非常に弱いという問題がある.様々な環境下でのロバスト性が求められる自動運転というタスクにおいて,この問題は解決すべきものである.

そこで,本研究ではセマンティックマップを用いた視差画像の改善手法を提案する.セマンティックマップとは画像の各ピクセルにクラスラベルを割り振ったものであり,環境を理解する上で必要な情報の一つと言える.この情報を付与することで,反射や透過がある領域に対しても人間に近い距離感を取得できることが期待される.

KITTIベンチマークを用いた評価実験の結果,視差画像のみを用いた場合やRGB画像を用いた場合と比べて,セマンティックマップが視差画像の改善に有効であることが確認された.