3次元再構成のための変換のブレンディングによる連続切片画像の非剛体位置合わせ

梶原 武紘 (1651032)


本研究では連続切片画像からの生体組織を3次元再構成するための位置合わせ手法を提案する. 連続切片画像からの生体組織の3次元再構成により,CTやMRIと比較し,高解像度な3次元データが得られる. しかしながら,連続切片画像からの3次元再構成には,切片作成時の非剛体変形,再構成された組織の不連続性およびスケールの変化の蓄積の問題がある. 本研究ではこれらの問題を解決するため,非剛体位置合わせ法,ターゲット画像の選択法およびスケール調整法を提案する. 切片画像は作成時に物理的な非剛体変形が生じる. 本手法ではこの非剛体変形を局所領域の制御点で求めた各剛体変換をブレンディングすることで表現する. また,位置合わせではソース画像をターゲット画像に合わせる.この画像対をずらしながら順次,位置合わせをすることで,3次元再構成を行う. この際,位置合わせに失敗した画像をターゲット画像として位置合わせを行うと,その前後で組織の不連続性が生じてしまう. そのため,変換のブレンディングを用いた正確性の指標により,適切なターゲット画像を選択する手法を提案する. また,位置合わせの繰り返しによりスケールの変化が蓄積し,組織の形状が変わってしまう. この問題に対して,位置合わせ前後の組織の面積に基づくスケール調整の手法を提案する. 実験結果から,提案する非剛体位置合わせ手法は従来手法と比較し,より少数の制御点で非剛体変形を表現でき,切片画像の染色の差異に頑強であることが分かった. さらに,ターゲット画像の選択により組織の不連続が抑えられ,スケール調整法によりスケールの変化が抑えられることが示された.