非線形システムに対する予測ガバナの設計と自動走行制御への応用

岩井雄大 (1651018)


近年,自動車の自動運転システムが注目されている. 高度な自動運転制御を実現するためには走行経路の予測が重要な要素となるが,現実の世界の不確かな環境下においては,予測誤差が問題となる. 先行研究では,予測誤差が生じる場合において,予測誤差がシステムの出力に与える影響を最小化するために,予測値を整形する予測値整形機構「最適予測ガバナ」が提案されている.本論文では,この予測ガバナを自動運転システムに応用することを考える. しかし,先行研究で提案されている予測ガバナは線形システムを適用対象としており,自動車のシステムなど非線形システムに直接適用することができなかった. 

そこで,本論文では,非線形システムに対する予測ガバナの設計問題に取り組んだ. まず,入力アフィンな非線形モデルに対して,予測ガバナの最適設計問題を定式化した.つぎに,予測ガバナの最適設計問題を解析的手法および,数値解析的手法によって解いた. 本発表では,これらの手法によって導かれる最適設計問題の解を紹介するとともに,入力制約を考慮した予測ガバナの設計問題について述べる.

さらに,予測ガバナを自動走行制御問題へ応用し,自動車の軌道追従の数値シミュレーションおよび,レーンキープ走行の実機実験を通して,予測ガバナの性能評価と実用可能性について検証する.