生活時間測定のための移動ロボットを用いた人の注視物体推定

井上智章 (1651016)


生活の質の向上のために,生活を記録,評価することは重要である.家政学において注目されている生活の質の評価指標に人の一日を時間の使い方によって分類した生活時間がある.既存の生活時間記録では,一定時間ごとに単一の行動を手作業で記録しているため測定間隔の粗さや手作業による手間や思い込みによる誤入力が課題となっている.  そこで,本研究では,より詳細な生活時間測定を支援するため移動ロボットを用いた人の注視物体推定手法を提案する.人の注視物体は,生活時間記録において記録する行動である「食事」,「テレビ鑑賞」などに密接に関連しており,人の注視している物体を推定することは,より細かな生活時間の測定につながる.提案手法では,ロボットに搭載したカメラを用いて,周囲環境に存在する人と物体を認識し,人の顔向き推定結果に基いて,人の注視物体の推定する.また,人の顔向き状態によって注視物体推定が困難になった場合には,ロボットの移動によって,推定精度の改善を図る.本発表では,物体認識と人の顔向きに基づいた注視物体推定手法とロボットの視点移動による注視物体の精度改善について説明する.最後に評価実験において,固定視点では,推定が困難な人の注視物体においてもロボットが人の顔向きに応じて視点を変更することで推定精度が改善されたことを述べる. paragraph delimiter