サーボ系における目標値整形技術とその高周波電源システムへの応用

井上 健吾 (1651014)


本論文では,サーボ系の目標値追従性能を改善させるための目標値整形技術を提案する.実際に,サーボ系を設計する際には,積分型サーボ系や2自由度制御系などが用いられ,仕様に合わせてフィードバック制御器やフィードフォワード制御器などのチューニングを行なう.しかし,制御器を設計済みの製品を運用中に,その製品の仕様が変更されたり,制御対象の特性が変わる状況が考えられる.そのような場合には,制御器の再設計が必要になる.しかし,製品化されている商品では,制御器がブラックボックス化されていることがある.また,仕様の変更が一時的な場合には,制御器の設計を変更することは避けたい.

そこで,本論文では,既存の制御器に後付けすることで制御性能を改善する二つのアドオン型の制御器を提案する.一つ目は,出力情報をフィードバックしながら目標値の整形を行う目標値整形器,二つ目は,目標値を制御対象に直接反映させるフィードフォワード制御器である.本論文では,まずこれらのアドオン型制御器の設計問題の定式化を行なった.つぎに,その設計問題を解くためにDifferential Evolutionアルゴリズムを用いた設計手法の提案を行い,数値例でその有用性の確認を行なった.最後に,プラズマ発生用の高周波電源システムを対象とした例題を通して,提案手法の有用性を確認した.