HMD型ARデバイスを用いたインタラクティブストーリーテリング

稲光 勇人 (1651013)


知識や経験を伝えるための重要な手段として,ストーリーテリングがある. さらに物語を強く印象づけるための方法に,インタラクティブストーリーテリングやロケーションベースのストーリーテリングがある. これらの手法を組み合わせたものとして,拡張現実感の技術を用いたインタラクティブARストーリーテリングがあり,盛んに研究されている. しかし,従来の研究では,ハンドヘルド型ARデバイスでのみその有効性が示されており,HMD型ARデバイスでは有効性の検証が行われていない. HMD型ARデバイスとハンドヘルド型とでは仕組みや特徴に様々な差異があり,ハンドヘルド型ARデバイスで示されたストーリーテリングの有効性をHMD型ARデバイスにそのまま適用することはできない. よって本研究では,実際にHMD型ARデバイス向けのロケーションベースのコンテンツを開発し,ユーザに体験してもらう. その様子をストーリーテリングの専門家の方々に視聴してもらい,アンケートにてコンテンツを評価してもらうことで,HMD型ARデバイスにおけるインタラクティブARストーリーテリングの有効性を明らかにしようと試みた. その結果,専門家全員が本コンテンツに対し魅力的であると回答した.これにより,HMD型ARデバイスにおけるインタラクティブストーリーテリングの有効性を確認した. また,ARコンテンツにおけるストーリー制作をサポートするツールや方法論が数多くの論文で述べられているが,HMD型ARデバイスのコンテンツ制作における方法論やパイプラインについては記述がない. これは,HMD型ARデバイス向けのコンテンツやアプリが普及していないことが原因である.よって本研究では,HMD型ARデバイスのコンテンツ開発のためのパイプラインを提案した. また,それによる開発プロセスの効率化を確認した.