自動走行時の車酔いとVR酔いが併発する環境における動揺病の評価

磯部良太(1651012)


 車両の自動走行化に伴い,従来の運転手であった人が搭乗者の一人となり,自車の車両挙動を予測することが難しくなることから,車酔いの増加が予測される. さらに,搭乗者の快適性の向上のため,AR技術を用いた情報提示が行われると予想される. しかし,ARによる映像は実環境に対して,遅延した映像を出力するため,視覚情報に遅延した運動感覚が伝わり,VR酔いの要因の1つとなる. そのため,自動走行環境では,車酔いとVR酔いの併発する新たな環境となる. これまで,自動走行中に,車酔いについて検討した研究例はいくつか存在するが,車酔いとVR酔いの併発環境について検討した研究事例はない.
 本研究では,車酔いとVR酔いが併発する環境での動揺病を「自動走行酔い」と定義し,自動走行酔いが搭乗者へ与えるの影響の調査を目的とする. ARは,実環境に対して遅延や位置ずれが起こりやすい特徴がある. この遅延や位置ずれが感覚矛盾を引き起こし,自動走行酔いになると仮説を立て,検証実験を行う. 実験では,アンケートによる主観的評価方法と生理指標による客観的評価方法を用いて,走行時に光学シースルーによる映像の提示を行った時の搭乗者の動揺病の評価実験を行う. その結果,アンケートから生理指標の両方で有意差を示し,従来の車酔いよりも自動走行時の光学シースルーによるAR提示で生じる自動走行酔いの方が深刻な動揺病であることを報告する.