仮想環境を用いた概念獲得のシミュレーションと転移学 習

笹野 仁 (1551047)


人間は視覚や聴覚, 触覚といった五感から得られるマルチモーダルな情報を用い て物体の概念を獲得していると言われている.こうした物体の概念獲得を,ロボッ トを用いて教師なしで学習する試みが行われている.このようにして獲得された概 念は生活支援ロボットなど実世界でユーザと接触するシステムでの応用が考えられ ているが,人間が普段の生活で扱う物体の数は膨大で,学習対象が消耗品や高価で ある場合や,ロボット自体を長時間運用する必要があることなどが大きなコストに なる.このような問題には転移学習が有効となるケースがある.ロボットによる物 体概念獲得のシミュレーションを仮想環境上で行い,その学習結果を実機に転用で きれば,こうしたコストを低減することができる.そこで,本研究ではマルチモー ダル情報を用いたロボットによる物体の概念獲得において転移学習が有効である ことを示す.そのために,転移学習で用いる具体的な概念学習アルゴリズムを提案 した.また,実ロボットと仮想環境の両方で概念獲得の結果が一致することを示し た.最後に,提案した転移学習アルゴリズムが有効であることを確認した.