安静時fMRI-fNIRS

岡田 裕斗 (1551025)


機能的磁気共鳴画像法 (fMRI)と機能的近赤外分光法 (fNIRS)は,ヒトの脳活動を非侵襲的に計測する方法である. fNIRSは計測の原理上,光の届く範囲である頭表から2〜3cm程度の深さの大脳皮質表面の活動しか計測できないため,それより深い脳深部の活動の計測ができない. しかし,脳は至る所が機能的に結合しているため,皮質表面の活動も脳深部の活動を反映しており,fNIRS信号から深部活動を推定できる可能性がある. 関連研究では,3種の認知課題において,fNIRS信号と深部のfMRI信号の関係を訓練データから機械学習法により学習することで,深部活動を推定する方法を提案している. しかし,この方法だと訓練データと異なる状況での推定は,汎化性能に欠ける可能性がある. この問題を解決するために,本研究では,fMRIで得られる全脳の安静時機能的結合 (rs-FC)を用いた推定モデルによって,fNIRS信号から深部活動を推定する方法を提案し,その可能性を検証した. その結果,fNIRSの実データを用いた推定は精度が低かった. その中でも,デフォルト・モード・ネットワークに関連する脳領域が推定精度が高い傾向にあった. さらに,提案方法は課題間及び被験者間で汎化する可能性がある