ゴール構造化記法を用いたリスク分析の改善と評価

八木 英光 (1551110)


近年, 自動車などの分野においては, 安全性の高い製品を作るだけでなく, その安全性を事実に基づいて系統的に説明する重要性が高まっている. また, 系統的な説明を記述する表記法としてゴール構造化記法(Goal Structuring Notation, GSN) が注目されている. 一方, 製品のリスク評価や事故要因の解析方法として, 従来からフォールトツリー解析(Fault Tree Analysis, FTA)と呼ばれる手法が用いられている. 従来の FTA は妥当性や網羅性を判断しづらいという問題がある. 一方で, ハザード分析やリスク評価において, GSNの表記法を用いることで, 分析における前提や根拠などの議論が明確化でき, レビュー者が妥当性を確認しやすくなり, 工数の削減につながることが報告されている. そこで本研究では, 消費生活用製品を対象としたリスク分析においてハザードに基づくGSNを適用することを提案する. さらにその有効性を評価するためリスク分析結果を構造化する評価実験を実施しFTAと比較した. GSN を用いる方が有用であるという傾向が見られる結果を得ることができ, リスク分析の構造化にGSNを適用することでリスクに対する理解度が向上することを示す.