双腕ロボットによる物体への輪ゴムかけスキルの実現
村瀬真基 (1551106)
産業,生活支援の分野において,
紐,布やゴムなどの不定形物を扱えるロボット
が必要とされてきている.
本研究では,
複数の物を束ねる
など多様な用途に使われる輪ゴムに注目し,
ロボットによる輪ゴムかけスキル実現のための枠組みの構築を目標とする.
輪ゴムを含めた不定形物の特徴として,
力を加えられることで形状が変形し,
正確な形状モデル作成や
形状計測
が困難であるがゆえに,
ロボットによる自動操作の実現は容易ではない.
これを回避するために,著者らは,輪ゴムに十分な外力が加わっていれば,
形状予測が容易となり,物体との接触点が固定される,
という輪ゴムの粘弾性に着目した.
つまり,輪ゴムを引っ張り続けた状態変数のセットを有効な状態空間として持ち,
その状態空間内で,所望の動作を計画すれば,
輪ゴムの状態計測の必要なく輪ゴムかけスキルを実現できる.
一つのアプローチとして,輪ゴムに十分に張力を与えた状態で
実際の輪ゴムかけ動作の教示データを収集し,
輪ゴムかけ動作可能な状態空間上で動作計画するような手法を実現できないかと考えた.
そこで,本研究では,確率最適制御の枠組みを用いて,
輪ゴムへの張力という力学的拘束条件を持つ運動計画手法を提案する.
まず,物体への輪ゴムのかかり具合を定量的に表す絡まり位相空間を利用する.
そして,確率最適制御の一手法としてカルバックライブラー制御を利用する.
実験では,双腕ロボットを用いて提案手法の有効性の検証を行い,
コスト関数を変化させることでロボットが多様な輪ゴムかけ動作を実現できることを確認した.