ロードプライシングにおける需要分布に基づく価格決定手法

増田 健一 (1551101)


時間やエネルギーの消費による経済損失,環境汚染など,交通渋滞はさまざまな社会問題を引き起こす. その交通渋滞を低減するための仕組みの一つとしてロードプライシングがあり,各国で研究や導入が行われている.

ロードプライシングには課金の対象や価格決定の方式によりさまざまな種類がある. なかでも,実際の混雑状況に応じて価格をリアルタイムに設定する方式は道路の利用効率を高めることが期待できる. しかしながら,利用者が混雑状況から正確な料金を予測することは困難であるため,計画性や利便性に問題が生じる.

そこで,本研究では出発地・目的地・時間帯ごとに道路利用の大まかな需要分布を事前に把握することができる環境を想定し, 道路事業者が需要分布に基いて価格の決定と提示を行う手法を提案する. 提案する価格決定手法では需要分布に基づく道路利用のモデルを設計し,設計したモデルにおける最適な価格決定は非線形最適化問題で表される.

本発表では,まず交通渋滞が社会に及ぼす影響と,それを低減するためのロードプライシングについて説明する. そして,本研究において設計したモデルについて説明し,最適化手法を用いて道路事業者の総収入を最大化する料金を求める方法について述べる. 最後に,最適化手法により求まった価格について考察する.