オフィスワーカのための機器装着不要なストレスモニタリングシステム

前田 直樹 (1551099)


近年,事業所におけるオフィスワーカの密度が上昇しているが, 作業レイアウトや職場の照明,温度などが労働者の心理的なストレスの原因になることがある. また仕事に関する強い不安やストレスを感じている労働者の割合が高くなってきており, 自殺した労働者数も年々増加している. これらの問題を解決し,仕事の生産性を上げる最も重要な課題は, オフィスワーカのメンタルヘルスを改善することである. そのため職場で積極的に心の健康の保持増進を図ることが重要な課題となっている.

本研究では,オフィスワーカが自らのストレスを予防,軽減するセルフケアを行いやすいように, ユーザのストレスを計測し通知するストレスモニタリングシステムを提案する.

提案手法は,オフィスワーカの心拍数,手の温湿度などの生体情報とマウスの動かし方などの PCの操作情報を取得し,取得したデータからストレス状態を推定し通知する. しかしユーザの情報を取得するためにウェアラブルデバイスなどを装着すると,新たなストレス要因と なる可能性がある. そのため,ユーザに違和感を与えずにデータ取得を行うことが本提案手法において重要なシステム要件である.

本研究ではシステム要件を満たすため,3軸加速度センサ,温湿度センサ,心拍センサを内蔵したマウスを開発しオフィスワーカの 生体情報とPC操作情報を取得できるシステムを開発した.

提案システムが正常に動作するか検証し,正常に動作することを確認した. 提案システムを用いて3人のPCユーザの状態をモニタリングした. 結果よりPC操作内容の違いによるユーザ毎のマウス操作の違いや,同一ユーザの異なる 室温環境におけるマウス操作の違いを確認できた. 最後にモニタリング内容からストレス推定モデルを作成しストレスを推定できるか検証した.

全検証結果より,提案手法を用いることでオフィスワーカのストレス状態を,仕事を妨害せずに 継続的にモニタリングすることが可能であることが分かった.