大規模データ解析を目的としたCT画像からの大腿骨前捻角の全自動測定法

堀本 悠司 (1551097)


大腿骨前捻角の計測は人工股関節全置換術や骨折の治療時などに有用な情報を提供する. 人工股関節全置換術とは, 慢性関節リウマチ, 大腿骨頭壊死, 変形性股関節症等の症例によって変形した股関節を インプラントに入れ替える手術であり, 整形外科で広く用いられる手術である. この手術計画時に大腿骨前捻角の測定は行われる. 実際の医療現場では医師が手動で計測を行っており,医師の負担増加や測定者によっての誤差が問題として挙げられる.

本研究では,大規模データでの解析を目的としてCT画像から全自動で大腿骨前捻角の測定を行った. 提案手法は学習段階と測定段階に分けられる.学習段階では統計形状モデルの作成と平均形状モデルの作成を行う. そして平均形状モデルに対して手動で大腿骨頚部範囲を設定し,大腿骨頚部範囲の頂点インデックスを取得する. 測定段階ではCT画像から大腿骨領域を自動抽出し, 学習段階で得た大腿骨頚部範囲の頂点インデックスを用いて大腿骨頚部範囲モデルを作成する. 作成された大腿骨頚部範囲モデルに対してパラメタリゼーションを行い,滑らかな輪切りを行う, 輪切りにされた輪郭線の各重心位置を計算して直線当てはめにより大腿骨頚部軸の設定を行う. こうして作成された大腿骨頚部軸を利用して大腿骨前捻角を測定する.