このことから量子計算機に対抗できるポスト量子暗号が研究されており,その一つにRing-LWE問題に基づいた鍵共有プロトコルが提案されている.
しかし,ポスト量子暗号を用いた鍵共有プロトコルは既存の公開鍵暗号よりも鍵共有時の通信量が大きくなることが知られており,Ring-LWE問題に基づいた鍵共有プロトコルだと2倍以上となる. このことから,組み込みシステム等の帯域が限られた環境での利用が困難である.
そこで,本研究では通信量削減を目的とし,通信データとして用いられる剰余環の値の特徴を利用した符号化手法を二つ提案する.
さらにこれらを実装し,圧縮率と圧縮処理,復号処理にかかる処理時間,圧縮処理,復号処理による安全性への影響について評価した.
その結果,約2.5%程度データ量を削減し,処理時間は16%程度増加した.さらに圧縮処理による安全性への影響がないことを示した.