マルチコプターの屋内利用に向けた飛行制御プラットフォームの開発

福井 友季也 (1551087)


マルチコプターはその移動範囲の広さから警備や検査, 農業, 物流など幅広い分野での活用が期待される. すでに屋外におけるGPS環境下での飛行制御は成熟しつつあるが, 屋内のような非GPS環境下での飛行制御には機体の位置姿勢の取得など多くの課題がある. また, 無人地上車両に比べて公開されているソフトウェアが少ないといった問題も存在する.

本発表ではRobot Operating System (ROS)を活用し, 一般的なマルチコプターに用いられる Flight Control Unit (FCU)で使用可能な屋内飛行制御システムを作成する. 本システムではVisual SLAMから得られた自己位置推定情報である直交座標系の座標を地理座標系の座標へと変換, 擬似的なGPS信号を作成することでマルチコプターで広く用いられているGPS信号を用いた飛行制御を屋内環境のような非GPS環境下で使用可能にする.

またVisual SLAMによって得られる3次元環境地図を活用, ROSのパッケージであるMoveItを使用, 新規に作成したマルチコプター用のコントローラと組み合わせることで障害物の多い屋内環境での飛行に必要な3次元経路計画を可能にする.

シミュレータ環境上で本手法を用いて, 非GPS環境下での疑似GPS信号を用いた機体の現在位置保持や指定座標への移動, 3次元経路計画を行うことに成功した. また実機環境上においても現在位置保持, 指定座標への移動について実験を行い, 本手法が使用可能であることを確認した.