コードレビューでの意見の衝突要因に基づく合意形成プロセスの分析

平尾俊貴 (1551085)


本発表では,オープンソースソフトウェアプロジェクトにおける,ソフトウェア品質の評価を目的としたコードレビューで発生する検証者間の合意形成プロセスの分析結果について発表する. コードレビューは,修正されたソースコードを検証者が精読して品質を評価する手法である. 検証者は建設的なフィードバックをソースコード作成者に与えるために,ソースコードが統合されるべきか否かを評価するスコアを投票する. 複数の検証者がコードをレビューする際,検証者間で意見が衝突する.本発表では,意見の衝突がどのくらい発生して合意形成に至るのかを,コードレビューの履歴を基に分析した結果を発表する. 具体的には,検証者間で意見が衝突する議論が26% 存在することを確認しており,特に,強い肯定意見と否定的意見が衝突した議論のうち,54% は検証者間で合意に至ることを確認した. また,合意形成に至った議論では,どのように意見の衝突を解決するのかを分析した結果,54% ±5% はソースコードを再度修正せずに検証者間の議論だけで合意形成に至ったことを明らかにした.