自動運転車両の搭乗者のための車載映像を用いたストレス要因推定
萩原 康平 (1551078)
現在,自動運転については自動車メーカーだけではなく様々な企業が製品化に向けて盛んに研究開発が行われている.従来の自動運転に関する研究は効率の良い経路設計や安全に焦点が当てられており,普及を目的とする際に重要な搭乗者の快適性の確保,向上を目的とした研究開発事例が少ないのが現状である.そこで最近では搭乗者の快適性を制御方法の改良や情報提示によって向上させることを目的とした研究が増えている.しかし,搭乗者の快適性を目指した従来研究では限定されたシーンにおける快適性向上手法についての研究となっている.従来研究においてシーンを限定してきた理由は,実際の走行環境においては複数の物体が存在することで走行シーンが複雑になり,ストレス要因の推定が困難になるためである.しかし,従来の快適性向上手法を適用するためには実際の走行環境において搭乗者の快適性阻害要因(ストレス要因)を推定することが重要になる.そこで本研究では自車周辺の動物体を対象として搭乗者のストレス要因推定を目的とする.
そこで我々のデータセットは搭乗者のストレス要因を推定するために必要な実際の走行シーンと,そのシーンに対応したストレス要因についてアノテーションを被験者実験によって収集したデータによって構成されている.このデータセット内の走行動画から動物体検出を行い,さらに搭乗者の快適性に影響を与える自車速度と周辺の動物体との相対速度情報を特徴量抽出し,複数人がストレスと感じるストレス要因情報を教師データとして推定器の作成を行う.そして作成した推定器の精度をデータセット内における実験において検証し,搭乗者のストレス要因推定可能性を示す.さらに検証結果からの考察によりさらなる精度向上に向けた方法を探る.