検証者からのフィードバックに基づく開発者の貢献期間の予測
則兼 卓人 (1551076)
本発表では,OSS (Open Source Software)プロジェクトにおいて,検証者(パッチを評価する開発者)からのフィードバック(パッチを改善するためのコメント)が開発者のパッチ投稿による貢献期間に与える影響について述べる.
OSSはコミュニティによる支援なしでは機能しなくなる.
特に長期貢献者(1年以上貢献した開発者)は新規貢献者の支援などを行っており,一部はバージョン管理システムへの変更権限を持っている.
このことから,長期貢献者はプロジェクトを成功に導く役割を担っていると言える.
開発者を長期貢献者に導くためには,開発者がパッチ投稿によって貢献する動機を理解することが重要である.
開発者へのアンケート調査から,検証者からのフィードバックが開発者の貢献期間に影響を与えるという回答が得られた.ただし,影響を与える検証者からのフィードバックの内容は明らかになっていない.
本論文では検証者からのフィードバックを,パッチに対する内的要因・外的要因の指摘,パッチへの指摘理由,指摘に含まれるキーワードの3つの観点から開発者の貢献期間に与える影響を分析した.
その結果,パッチに対する内的要因の指摘や不完全な修正であるという指摘理由,キーワード``good''を含む指摘を受けた開発者は長期的にパッチを投稿することがわかった.
これまで開発者の貢献期間の予測に検証者からのフィードバックは考慮されていなかったため,本論文での結果により従来研究での開発者の貢献期間の予測精度の向上が期待される.