視覚情報を用いた操舵予測モデル

洲﨑 智仁 (1551054)


近年,注目を集める自動運転において接触事故を無くすためには周辺車両の動きを予測する必要がある.そして,正確な周辺車両の行動予測には人の運転行動を理解することが必要不可欠である.本研究では人の運転行動を理解するため,運転行動モデルの構築を行った.

ドライバが運転中に注目しているとされる点としてTangent PointとFuture Pathの2つが提案されているが,それぞれ問題を抱えており,議論は続いている.そのため,本研究ではそれらと別の切り口としてOptical flowに注目した.

Optical flowは網膜上での物体の動きを表すベクトルであり,これから物体の移動方向と移動量を知ることができる.また,Optical flowの値が0になるFocus of Expansionと呼ばれる点があり,視界内でのこの点の位置を知ることで自分の進行方向を知ることができる.

このOptical flowに注目したモデルとして岡藤らが提案するモデルがあり,本研究ではこのモデルを使用した.このモデルを用いて予測を行い,モデルの性能を評価した.さらに,Optical flowを用いることでどれ程の精度で予測ができるかを調べた.

予測に使う運転データはシミュレータ実験を行って収集を行った.実験ではドライビングシミュレータと視線計測器を使用し,運転行動と視界情報を記録した.

データ収集後,モデルを用いて操舵角の予測を行った.ただ,モデルを動かすためにはTarget Point上のOptical flowを入力する必要がある.Target Pointはドライバが目指す目標地点を指し,実際に目に見えるような点ではない.そのため,実験データからはTarget Pointの位置は知ることができない.そこで,本研究ではドライバは見ている位置から情報を得るであろうという仮説のもと,Target Point上のOptical flowの代わりに注視点上のOptical flowを使用した.

予測では,まず定常曲率のカーブを対象にして行った.予測された値は実測値と高い相関をもっており,このモデルは定常曲率のカーブにおいては高精度で操舵角を予測できることがわかった.同時に,注視点上のOptical flowを使用することで高精度で予測できることも示された.

次に,対象範囲を広げて定常曲率のカーブ以外の区間にもモデルを適用した.定常曲率のカーブ区間以外には緩和曲線突入区間と緩和曲線脱出区間,直線区間の3つがあり,それぞれに対して操舵角の予測を行った.結果,それぞれ高い精度で予測することができ,カーブ以外の区間でも高い精度を予測できることがわかった.

以上の結果からこのOptical flowに基づいたモデルは全区間において操舵角を高い精度で予測できることが示された.また,注視点上のOptical flowを用いることで高い精度で操舵角を予測できることが明らかになった.