8Kライトフィールド動画向けHEVCエンコーダの提案と評価
嶋谷 知 (1551051)
近年の IoT 市場において高精細な監視カメラの利用が広がることが予見されている.
しかし,一般的なカメラは 2次元平面に投影された情報のみ撮影するため,
焦点により不明瞭な箇所が発生し,撮影画像を十分に活用できない.
そのため,不明瞭な箇所を明瞭化させる必要がある.明瞭化させるための技術として近年注目されている撮影後にリフォーカスや距離画像生成,視点移動などの処理が可能なライトフィールドと呼ばれる形式がある.
監視カメラには圧縮処理が必要となることから,ライトフィールド画像を動画化したライトフィールド動画を動画符号化規格のHEVCを用いて圧縮することを想定する.HEVCは処理量の多さによって従来規格よりハードウェア規模が大きくなる.そのため,コスト削減のため小型化を行うことが望ましい.本研究では複数のエンコードパターンの測定を行い,測定結果からライトフィールド動画の特性を利用したハードウェア小型化手法を提案する.
測定により,デブロッキングフィルタ,SAO ,小数画素精度動き予測器の3種類を取り除くことが可能であり,量子化を通常のものかRDOQかを選択することで目的に応じた構成が可能であるということがわかった.
通常の動画をエンコードするための標準的なエンコーダと比較するとライトフィールド用のエンコーダ構成において,圧縮率を優先する構成では RDOQ を使用し,約50.4%のハードウェア量増加で平均34.0%の圧縮率向上となった.
ハードウェアの小型化を優先する構成では通常の量子化を使用し,約23.9%のハードウェア量削減と平均6.1%の圧縮率向上という結果が得られた.