フェイルダイ特性を利用したLSIテスト結果予測の精度向上に関する研究

佐藤 敬済 (1551048)


本発表では, 機械学習によってLSI(集積回路)のテスト結果を予測する手法を提案する.

近年, LSIは鉄道やATMなどの社会インフラに組み込まれ, 求められる信頼性はますます高まっている. そのため, 様々なテストを行い, すべてのテストを合格した製品のみを出荷している. しかし, 大量の製品に対して, 数多くのテストを行うことは, 製造コストの半分を占めると言われるほど高いコストがかかる. そこで近年, データマイニング手法を用いて, 前段のテスト計測値から最終的な結果を予測し, テスト工程を省略することで, テストコストを削減する手法が注目されている. テスト結果は, 各テスト工程で観測された物理的特性などの計測結果を用いて, 機械学習を行うことで予測する. 良品と予測された製品には実施するテスト工程を減らし, それ以外の製品には通常の工程を行う. この方法により, テスト時間とともにテスト装置の駆動時間を減らすことで, コスト削減が可能となる. そのため現在, 機械学習を用いたLSIのテスト結果予測に関する研究が盛んに取り組まれている.

本研究では, 機械学習によってLSIのテスト結果を予測する際, テストにフェイルしたLSIの持つ特性に注目し, テスト結果予測精度を向上する. 具体的には, フェイルしたLSIをクラスタリングする手法と, ある特定のフェイルしたLSIを抽出するため, 学習結果から特徴的なLSIを抽出する手法を組み合わせて用いた. テスト結果予測は, サポートベクターマシン(Support Vector Machine, SVM)によって行った. 予測モデルの性能は, ROC曲線に基づく, AUCによって評価した. 本研究では, 提案手法を用いることで, フェイル特性を考慮しない場合と比べて, AUCが0.05向上した.