近年, LSIは鉄道やATMなどの社会インフラに組み込まれ, 求められる信頼性はますます高まっている. そのため, 様々なテストを行い, すべてのテストを合格した製品のみを出荷している. しかし, 大量の製品に対して, 数多くのテストを行うことは, 製造コストの半分を占めると言われるほど高いコストがかかる. そこで近年, データマイニング手法を用いて, 前段のテスト計測値から最終的な結果を予測し, テスト工程を省略することで, テストコストを削減する手法が注目されている. テスト結果は, 各テスト工程で観測された物理的特性などの計測結果を用いて, 機械学習を行うことで予測する. 良品と予測された製品には実施するテスト工程を減らし, それ以外の製品には通常の工程を行う. この方法により, テスト時間とともにテスト装置の駆動時間を減らすことで, コスト削減が可能となる. そのため現在, 機械学習を用いたLSIのテスト結果予測に関する研究が盛んに取り組まれている.
本研究では, 機械学習によってLSIのテスト結果を予測する際, テストにフェイルしたLSIの持つ特性に注目し, テスト結果予測精度を向上する. 具体的には, フェイルしたLSIをクラスタリングする手法と, ある特定のフェイルしたLSIを抽出するため, 学習結果から特徴的なLSIを抽出する手法を組み合わせて用いた. テスト結果予測は, サポートベクターマシン(Support Vector Machine, SVM)によって行った. 予測モデルの性能は, ROC曲線に基づく, AUCによって評価した. 本研究では, 提案手法を用いることで, フェイル特性を考慮しない場合と比べて, AUCが0.05向上した.