タイムシフト機能による雑談ロボットとテレビ視聴者との対話促進法
光﨑将人 (1551043)
本論文は,日常的にコミュニケーションが不足している若年者,及び高齢者の発
話機会増加を目指した“人と共にテレビを視聴する雑談ロボット”が,ユーザに飽きられない対話継続に適した雑談ロボットになるよう改良する.視聴中のテレビ番組に関するSNS のユーザコメントを雑談ロボットの発話文に用いることで発話内容が面白く,相槌,復唱,自動応答文生成を示す機械応答によりユーザの発話に対して円滑な応答が可能な対話機能を研究する.本提案では特に,テレビ番組のシーンに合った適切な内容を適切なタイミングで雑談ロボットに発話させるための処理時間を確保するために”タイムシフト”機能を導入する.テレビ番組のタイムシフトにより遅延させた時間内でテレビ番組の内容と雑談ロボット発話内容の時間的同期や雑談ロボットの発話タイミングの調整を行う.これによって,これまで問題視されていたSNS との連携による雑談ロボットの発話の遅延や,テレビと雑談ロボットの音声の重複を同時に解決する.タイムシフトがユーザの対話継続意欲に与える影響を調査するために,タイムシフトを適用したものとそうでないものの2種類の雑談ロボットを用意し,スポーツ番組を用いて比較実験を行う.その結果,スポーツにおいてタイムシフトを適用した際に,ユーザの対話継続意欲を高めることを示す.さらに,テレビ番組が映像重視であるか内容重視であるかという観点からスポーツ,バラエティ,ニュースといった3種類の異なる性質を持つテレビ番組に対して,これらにタイムシフトを適用して予備実験と同等の効果が得られるのかを調査する.この結果,これらのテレビ番組にタイムシフトを適用した際にも予備実験と同等の効果が得られることが分かった.映像重視であるスポーツよりも内容重視であるニュースの方がタイムシフトによる効果が大きいことを示す.これらの実験を通して,タイムシフト機能を導入することによって,雑談ロボットがテレビ番組のシーンに合った適切な内容を適切なタイミングで発話でき,対話継続が可能であることを明らかにする.
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