グラフマッチングを用いた占有格子地図の対応付け及び位置合わせ

角間 大輔 (1551030)


ロボットが環境のセマンティックな情報を獲得することができれば,自然言語による指示を理解できるようになる.例えば「Aの部屋に行ってBを取って来い」という自然な会話で指示できる.多くの建物にあるフロアマップにはセマンティックな情報が記載されており,ロボットが持つ環境の知識「環境地図」とフロアマップとの対応を得ることができれば,フロアマップの情報を環境地図に付与できる.

本研究では,ロボットの環境地図の1種である占有格子地図とフロアマップとを,グラフマッチングを用いて位置合わせする手法を提案する. 地図を小さな領域が互いに接続しているものと捉えることで,地図をグラフとして扱うことができる. 提案手法では,まず両地図を領域分割し,木構造グラフを抽出する.次にグラフマッチングによって領域間の対応を得る. 最後に,得られた対応から重ね合わせのための相似変換行列を推定する.

実験では,レーザレンジセンサを搭載した移動ロボットにより計測されたデータからSimultaneous Localization and Mapping (SLAM) を利用して作成した占有格子地図し,提案手法を用いてフロアマップと位置合わせを行うことで,提案手法の有効性を確認した. また,位置合わせによってフロアマップ上の情報が利用可能であることを確認するため,フロアマップ上で目標地点を指定することで移動ロボットナビゲーションを行った.

発表では,本提案手法の中心となっているグラフ構造の抽出を軸に,抽出のための領域分割,抽出後のグラフマッチングについて述べる. 実環境データを用いた実験は処理の経過を紹介し,2つの実験結果を簡単に比較する. さらに,アプリケーションの例としてフロアマップ上でのナビゲーション結果を動画で紹介する.