専用道具と力覚情報を用いた双腕ロボットによる衣類ボタンかけ動作の作成
尾中 哲哉(1551027)
近年では家事支援ロボットの開発が進められている.中でも特に衣類を扱うものが注目されており,衣類の展開,畳みなどの作業が実現されている.しかし,衣類を扱う一連の操作を自動化するためにはロボットによるボタンかけの自動化も必要となる.本発表は,双腕ロボットを用いて専用道具を操作することにより衣類のボタンかけ作業を実現する.専用の道具を扱うことによりボタンを直接把持する必要がなくなり,作業の簡略化ができる.画像情報等で布の詳細な状態を検知せず,力覚情報のみを用いてボタンかけを行う.ロボットの手先や布地でボタン周辺が隠れている場合でも必要な情報を収集し作業を行える.
提案する手法では,人間がボタンかけ作業を行う際の動作を解析し,同じ役割を果たすロボットの基本作業動作を作成する.そして作業成功率を向上させるために,基本動作に補助動作を組み込む.
力覚センサを用いて作業中に発生する力を計測し,各作業の成否を検知する.失敗を検知した場合にはその作業をやり直すことにより,ボタンかけ全体の成功率を向上させる.
実験では作成したシステムを用いて双腕ロボットによるボタンかけ作業を行った.提案した補助動作を組み込むことにより各作業が失敗する頻度は低減し,手法の有効性を確認した.また,補助動作を組み込んだシステムでは全ての試行において失敗した作業をやり直すことで最終的にボタンかけが成功し,作成したシステムの有効性が確認できた.