店舗におけるサービスロボットのエンドユーザ向けプログラミング

大石 陽波 (1551020)


あらゆる日常環境での活躍が期待されているサービスロボットは,小売店において呼び込みや宣伝,案内など様々なタスクを行うことが求められる.サービスロボットのエンドユーザでも専門的な知識なしでプログラミングできるツールが開発されているが,それでもエンドユーザにはある程度のコンピュータスキルが求められる.本研究では,プログラミング知識やコンピュータスキルのない店舗の従業員でも簡単にロボットプログラミングができる,エンドユーザ向けのシステムを提案する.店舗従業員がタスクを行う際に意識することなく適切に決定しているタスク要素をロボットへ変数として入力する場合,その変数は暗黙的な変数といえる.この変数の存在をエンドユーザが意識することなく,システム上で暗黙的に入力することが,より簡単にロボットプログラミングできる有効な手段であるという仮説を立てる.まず,サービスロボットに求められるタスクパターンとそのタスクに存在する暗黙的な変数を明らかにするため,ヒアリング調査と予備実験を行う.次に,その結果を基にタスクパターンを教示できるシステム,暗黙的な変数を入力できるインタフェースを設計・実装する.本研究の仮説を検証するため,暗黙的な変数の入力方法を暗黙的・明示的と2種類設計し,それぞれのプログラミング方法を実験的に評価する.暗黙的な変数入力は教示の過程でシステム側から変数を取得させる方法で,明示的な変数入力はユーザ自身がインタフェース上でパラメータを打ち込む方法である.実験被験者には,各々のインタフェースで人型コミュニケーションロボットにタスクを教示してもらい,変数入力操作の使いやすさ,ロボットの使いたさ,インタフェースの総合的な良さを評価する.

実験の結果,いずれの評価項目も両者のインタフェースに有意な差は見られないものの,インタフェースの総合的な良さの評価については暗黙的な入力方法が高い傾向が見られた.また,被験者へのインタビューから,暗黙的な入力が好まれる可能性が明らかになった.