公共空間におけるロボットのためのサービス提供順序に関する社会常識モデリング

魚谷果那 (1551017)


公共空間において様々なサービスを提供するインタラクションロボットのニーズが高まる中,具体的なサービスを想定したサービスロボットの開発が行われている. サービスロボットが公共空間において適切な振る舞いを行うには,一般的に人が持つ知識である社会常識に基づいて動作設計することが重要であるが,ロボット サービスのために社会常識をモデル化した例は少ない. 本研究では,フライヤー配布などのサービスを提供した際に発生する,順序が明確でないサービス提供順序における社会常識をモデル化し,サービス提供を待つ人々が適切な順番でサービスを受けることができるロボットの振る舞いを実現する. 社会常識が満たされたサービス提供順序における人々の挙動を解析することで順序形成過程のモデル化し、これを基にサービス利用者にとって不満の発生しない順番でロボットがサービスを提供することが可能な順序決定モデルを提案する. 順序決定モデルに基づきサービス提供を行うロボットと既存のチラシ配布モデルを使用したロボットの動作を第三者視点から主観評価を用いて比較する. 「チラシ配りが上手だ」,「社会常識に則って行動している」,「顧客と上手くコミュニケーションをとっている」,「顧客に公平な対応をしている」の各項目において,提案モデルを使用したロボットは,既存モデルを使用したロボットより好印象であることを明らかにし,提案モデルの妥当性を示す.